今では喪服のイメージの強い黒紋付も、
本来は五つ紋の入ったものは第一礼装として、
結婚式等でも着用された、縁起の良い着物です。
紋付とは、家紋の付いた着物や羽織のことで、
主に礼服として着用されます。
その起原は江戸時代、武家社会での略礼装に始まり、
中期には庶民の最礼装として着用されはじめます。
そして、明治時代になり、
「五つ紋の黒紋付羽織袴」を礼装に定められたことで、
黒紋付は第一礼装として持ちいられるようになりました。
紋の数は、略式には三つ紋、一つ紋がありますが、
五つ紋が正式とされています。
背中に一つ(背紋)、両腕に一つずつ(抱き紋)、
両袖の外側に一つずつ(袖紋)、合計五つの紋があります。
実はこの数には意味があり、
背中はご先祖、両腕はそれぞれ父親、母親、
両袖には兄弟、親戚縁者の意味があると言われています。
紋が入ることで、
まるでご先祖様にしっかりと見守られているかのような、
その独特な風格は、他の衣服には無いものがあります。
日本が世界に誇れる着物文化の一つが黒紋付なのです。
先祖代々伝わる大切な紋。
名古屋黒紋付染めは、独自の技法で紋をお入れしています。