技法

紋を大切に考えるからこその一手間

他の産地には無い大きな特徴として、
「紋当金網付け(もんあてかなあみつけ)」技法があります。
天保年間(1830年〜)に生まれた技法を起原とし、
職人達によって改良がなされ、今に至ります。
この一手間を加えるのは、紋をより大切に考えるからこそと言えます。

①紋型紙 ②ポン抜き

用いる道具

①の紋型紙は和紙を何枚も張り合わせて作ります。
紋の形に合わせた型紙になります。
②はポン抜きと言って、張り合わせた和紙から金槌を使い、
型紙を打ち抜きます。
紋の数程、ポン抜きが存在します。

水を含んだ和紙の特徴を活かした技法

紋を入れる位置に紋型紙を当て、
金網ではさみ、縫い付けてしっかりと固定します。
この型紙は染液に付けた時に膨張し、
さらに生地を圧迫して、染料の侵入を防ぐ効果があります。

より深い黒のために

金網を縫い付ける作業が終わると、
「かんす」というものに生地を巻き付けます。
それを熱湯に浸け、生地の製造工程で付着した不純物を、
染める前に取り除きます。
そうすることで、よりムラの少ない染色が可能となります。
この行程を「地入れ」と言います。

「黒染め」へ

今なお生きている技法

染めたものは一晩中水に浸けられ、
より堅牢度の高い黒となります。
その後、金網を外すと、紋の形に白が残っており、
これに上絵士が紋を描き入れます。
昔ながらの技法が今なお残っています。